看護師として10年以上勤務していると、自分のいる領域の病気や薬、治療法などたくさんの知識が定着してきました。今でも新しいことにはたくさん出会うので、少しずつ勉強している毎日です。
新人看護師さんが最初にぶつかる壁は、自分が担当する患者さんの病気や治療、薬についての知識、観察するポイントなどです。
看護学生時代に単位取得のための試験や国家試験をパスするために、たくさんの知識を暗記し詰め込んできましたが、詰め込んだ知識は忘れるのも早いですよね?
そして、いざ看護師として現場に出たら、わからないことばかり、覚えることばかり。
今日は、病気や知識を自分の頭に定着させるにはどうしたらいいのか、勉強のコツについてお話します。
知識が定着するとは?
仕事において知識が定着するということは、暗記をして覚えることではありません。
最終的な目標は、定着した知識をもとに看護師として働くことができるということにあります。
そのための知識の定着は、症状や病気を暗記するのではなく、その機序を知ることにあります。
どういうことかと言うと、例えば「貧血」を示唆する症状は何か?と考えたとき、
暗記している人は、「顔面蒼白、気分不良、動機、眼瞼結膜蒼白・・・」と答えを出します。
しかし、そうではなく、「血中のヘモグロビンが血管外へ失われたらどうなるのか?」と考えると
赤い色をしているヘモグロビンが減る→顔面蒼白、眼瞼結膜蒼白
立つと重力で頭の血流が減少する→立ちくらみ、めまい
酸素を運ぶヘモグロビンが減る→息切れ、動機・頻脈(たくさん血液を循環させようと心臓が頑張る)
など、一例ではありますが、このような機序を考えて勉強することが必要です。
「覚える」というよりは「理解する」ということですね。
他にも、病棟に多く存在する手技や処置介助のマニュアルも、なぜその順番なのか、なぜその物品が必要なのか、なぜそのような注意点があるのか、とその本質を理解することで実戦で使えることができます。
長くやっていればそのうち理解できるが、、、
多くの先輩看護師たちは、ずっと同じことをやっているので、覚えて忘れて思い出してを繰り返し、機序が理解でき定着しています。
何回も同じことをしていたら、だんだんとその本質も理解できるようになりますが、非常に効率が悪く時間がかかります。
いかに早く知識を自分のものにできるかどうかは、やはり機序や理由をしっかりと考え理解することにあります。
救急では臨床推論の力が重要
他の回でもお話ししましたが、救急では症状から病気や危険性を考える、臨床推論の力が重要です。
そしてこの力を必要とする時は、目の前に患者さんがいるとき、あるいは今から受け入れて対応するときです。
このようなタイミングで教科書を開いて勉強している時間はありません。
最近はスマホで、サクッと知識を思い出すことはできますが。
患者さんの症状から臨床推論を行うためには、その症状から考えられる病気の機序について考えられなくてはなりません。
まとめ
長くやっていれば、自然と流れや理由がわかり、ある程度自分の中に知識は定着します。
必要な物品も揃えられるようになるでしょう。
しかし、それでは非常に非効率です。
覚えるよりも、その本質を理解するように勉強する、あるいは指導すると、内容の充実した勉強ができるのではないでしょうか。