医療現場では日常的に使用されているパルスオキシメーターですが、新型コロナウイルスの影響もあり、一般家庭にもパルスオキシメーターが持たれるような時代になりました。
しかし、パルスオキシメーターによって何がわかるのか?どのように判断するのか?使用上の注意点など、一般的にはまだまだ知られていないことがあります。
実際に私自身も、救急外来で「パルスオキシメーターの数値が問題ないので、コロナではないですよね?」と聞かれたこともありました。
今日はおさらいも意味も含め、改めてパルスオキシメーター、SpO2についてお話します。
パルスオキシメーターとは?
パルスオキシメーター(pulse oximeter)とは、皮膚を通して動脈血酸素飽和度を測定するための装置です。
検知器(プローブ)を手の指先以外にも、耳たぶや足趾、新生児であれば足背でも、非侵襲的、つまり患者に痛みや苦痛を与えることなく、SpO₂を測定することができます。
SpO₂とは?
よく聞くSpO₂とは、日本語では経皮的動脈血酸素飽和度です。
S:saturation(飽和度)
p:percutaneous(経皮的)・・・皮膚を介して
O₂:酸素(酸素)
肺に取り込まれた酸素は、ヘモグロビンと結合し全身に運ばれます。
そして、酸素飽和度とは、動脈の赤血球中のヘモグロビンが酸素と結合している割合を示し、正常値が96-99%とされています。
その値を経皮的、つまり皮膚を介して測定しているものがSpO₂です。
わざわざ「経皮的」と称しているのには理由があります。
我々が知りたいのは、動脈血中にどれだけ酸素が含まれているかということです。
その値を測定する方法として、実際に動脈血採血を行い測定する方法もあるからです。
動脈採血をして測定した酸素飽和度はSaO₂です。
これは、S:saturation(飽和度)、a:artery(動脈)、O₂:酸素(酸素)ですね。
SpO₂との違いは、どこで測定したのか、p:percutaneous(経皮的)→a:artery(動脈)だけです。
動脈血採血は、通常手首の橈骨動脈や、鼠径部の大腿動脈から行いますが、その手技は侵襲的かつ医師にしかできません。
そこで、非侵襲的に測定できるSpO₂が非常に重要とされています。
SpO₂の値が低い原因を考える
SpO₂の値が低い場合、どのようなことが考えられるのでしょうか?
呼吸状態が悪く、酸素を取り込むことができていない。
気道や肺、心臓に問題があり、空気中の酸素だけでは酸素が足りていない状態が考えられますが、看護師としては、呼吸回数やその他バイタルサイン、患者さんに呼吸苦や胸の痛みなど、自覚症状が出ていないか、チアノーゼなど低酸素血症を示唆するような所見が出ていないか観察し、総合して考えることが大切です。
また、あくまでも経皮的に測定しているので、測定部位が冷たく、血流が悪い場合は正常に測定できていないことが多々ありますで、正常に測定されているか判断することも重要です。
病院などで波形モニタリングができる状態であれば、心拍に合わせて波形が出ているかどうか観察しましょう。
まとめ
動脈中の酸素飽和度を簡単に測定できる機器として普及しているパルスオキシメーターですが、看護師がその数値のみで判断することは非常に浅はかです。
重要な値ですが、他の症状や所見を合わせてアセスメントすることが必要で、そのアセスメントができれば迅速な対応や、正確な医師への報告につながります。
安易に「体の中の酸素の値」と考えるのではなく、その本質を考えられるようにしたいですね。