救命救急センターではウォークイン患者さんに対してトリアージを実施しています。
救急受診におけるトリアージ加算100点(1000円)がかかります。
私たち看護師が、ウォークインで受診された患者さんの主訴、病歴、受傷機転、既往歴、内服歴などを問診し、バイタルサインや身体所見を踏まえて、診療の優先順位を決定しています。
患者数が少なければ優先順位をつける必要がないように感じますが、中には急いで検査や治療をしなければいけない患者さんもいますので、トリアージを行う看護師には高いスキルが求められます。
今日は、そのトリアージをするにはどんなスキルが求められるかお話しします。
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問診力のスキル
基本的には問診表の記入がありますが、もちろん選択肢には限りがあり、その内容だけでは情報は不十分です。
そこで、限られた時間の中で患者さんにお話しを聞くのですが、バイタルサイン測定も含めて5分程しかありませんので、患者さんのエピソードをすべて聞くわけにはいきません。
トリアージに必要な情報だけを効率よく問診することが重要です。
他の記事でもお話ししたように、「血を吐いてしまった、吐血した」と来院されても、それが「吐血」か「喀血」かある程度見極める必要があります。
「どれくらいの量を吐いたのか」「どんな風に吐いたのか、嘔吐するように?咳する感じ?」
「便の色は正常か」などアセスメントするための情報を効率よく問診する必要があります。
臨床推論のスキル
トリアージを行う看護師は、症状や病歴、受傷機転などから臨床推論をしなくてはいけません。
もちろん看護師は診断を行うわけではないので、トリアージをして病名を考えているわけではありません。
しかし、最優先すべき患者さんを見落とさないためには、主訴から考えられるワースト疾患を考えなければなりません。
これは、すでに診断がついている入院患者さんのアセスメントとは逆の考え方になります。
問診、観察した結果から、あらゆる疾患やリスクを想定し、トリアージを決定していきます。
このためには、身体の中でどのようなことが起こっているのか、機序をしっかりと考えられる臨床推論のスキルが必要不可欠です。
コミュニケーションスキル
救急には多種多様な患者さんが来られます。
丁寧に答えてくれる人、自分のことをものすごい勢いでしゃべり倒してくる人、なぜか不機嫌であんまり答えてくれない人、酔っ払っている人、精神疾患がある人などなど。
相手が誰であろうと、私たちはトリアージをしなくてはいけません。
例えば、ものすごい勢いで何でもかんでも話してくる人は、ある程度で会話を遮り、問診を続ける必要があります。
しかし、それは相手と喧嘩をするわけではなく、その話をある程度受け入れつつ、上手く自分が聞きたいことを聞かなくてはいけません。
また、トリアージの看護師の印象が悪く、患者さんや家族に不快な思いをさせる可能性もあります。
もちろんサービス業ではないので、お客様のように患者さんに対応する必要はないと思っています。
しかし、今から診療を始めていきたいのに、相手に対して不快な思いをさせても何の得にもなりません。
トリアージの看護師の対応ひとつで、医師や他の看護師にも迷惑がかかる可能性があります。
患者さんの中には、何か理由があって話したくない人、話せない人もいます。
その場合は、最低限の情報をとり判断します。
その辺の見極めもコミュニケーションスキルです。
まとめ
トリアージでは看護師自分ひとりの環境ですが、すべての疾患を知っているわけではありません。
わからないとき、判断に迷ったときは必ず相談することも大切です。
リスクや優先順位の見極めができれば、最低限問題ないと思います。