最近メディアでもよく取り上げられる救急の現場。
私自身も10年以上、救命救急センターで勤務していますが、たくさんの壮絶な症例や多忙な勤務を乗りこえてきました。
救急で働く看護師にはどんな力が求められるでしょうか?
この記事では、現代の救急看護師に求められている能力についてお話していきます。
高度な知識と技術、学ぶ力
これはどの分野においても、どんな専門職においても、その職を極めるには当然のことですね。
働く病院にもよりますが、基本的には救急には新生児からお年寄り、ありとあらゆる診療科の患者さんがきます。
全部の病気を把握するなんてことはほぼ不可能ですし、その専門の病棟の看護師さんに比べると浅い知識かもしれません。
しかし、各診療科における基本的な疾患や観察項目についてはできる限り理解しています。
自分の救急で実施できる処置における、物品や手順、介助についてもです。
ここまで覚えて身に着けるまで本当にたくさん勉強しました。
なんとか人に教えられる立場まで上がりましたが、そんな私でも忘れてしまうこと、知らないことはたくさんあります。
そして、その都度勉強し学び続けるのです。
臨床推論の力
救急と一般病棟の大きな違いは、患者さんの診断がついていないことにあります。
入院中の患者さんは、みんな何の病気や怪我で入院しているかカルテに書いてありますよね?
そこから観察項目やその日のケアや処置が決まってくると思います。
もちろん、診断名とは関係のない新規のイベントが起こることもありますが。
救急では、患者さんの症状、バイタルサイン、病歴・受傷機転、既往歴などから必要な観察、検査を行い診断をつけ、入院の必要性やその後の方針を決定します。
もちろん診断を行うのは医師ですが、私たち看護師も患者さんの情報を元に、先を予測しなければいけません。
特にトリアージを看護師が行う際には、患者さんの症状や病歴から多くの疾患やリスクを推察し、診療の優先度を判断しています。
高度な知識とつながりますが、症状から病態を考えるという臨床推論の力が求められます。
予測し準備する力
重症が予測される救急車受け入れにおいて、最初の勝負は準備で8割決まります。
患者さんが来てから、この物品が必要だった、あの薬も必要だと、指示されてから取りに行っていては、診療が大きく遅れます。
これは1分1秒を争うような3次救急の現場では致命的です。
大げさかもしれませんが、看護師の準備不足で人一人の命が救えないかもしれません。
他者と協力する力
これは当たり前のように聞こえますが、意外にできない看護師が多いのが現状です。
看護師の仕事は診療ではなく、診療の補助です。もちろん医療行為や薬剤投与も、医師の指示のもと行う行為です。
救急の患者が運ばれてきても、看護師一人の力だけでは誰も救えません。
病院は医療を提供する場であり、街中で倒れた人を一次救命する場合とは異なります。
救急の現場では、医師、看護師、救命士、放射線技師、看護助手、放射線技師、薬剤師、事務スタッフなど多くの人が働いて成り立っています。
医師や他の看護師など、他者の意見をしっかりと聞き、自分の考えも伝え、協力できる看護師は本当に重宝されます。
冷静に考え振る舞う力
よくテレビドラマなどで、医者や看護師が大声で指示したり、怒鳴ったり、あとは看護師が走り回ったりするシーンがありますよね?
忙しい時、患者さんが急変している時に焦ったり、怒鳴ったり、パニックになったりしても全くメリットがありません。
「焦る」と「急ぐ」はちがうと思っています。
もちろん慣れていない段階では、焦ってしまうこともたくさんあります。
でも、焦った状態で誰かに何かを伝えても、しっかりと伝わりません。
手技や業務も雑になります。
そして何よりも患者さんからすると不安が大きくなるだけです。
看護師が走って、他の看護師にぶつかり、ぶつかられた看護師が怪我をしたこともありました。
私も心の中ではすごく焦ることがあります。
できるだけ冷静に考え、その焦りはできるだけ外に出さず働いています。
常に冷静に、焦る気持ちは心の中で。
まとめ
救急看護師に求められる力についてお話しました。
もちろん、これら以外にも多くあると思います。
今後、救急を目指す方に参考にして頂けたらと思います。